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故郷の商店街に元気を 19日公開、映画『しゃったぁず・4』

産経新聞 2010/06/18

 街の商店街が寂れ、シャッターを閉じた店舗が並ぶ「シャッター通り」。東京で一週間だけ公開の「しゃったぁず・4」は、そんな街に生きる住民たちの奮闘ぶりを描いた映画だ。これが長編初作品となる畑中大輔監督(27)は「商店街を盛り上げる映画が撮りたかった」と語る。

 タイトルの「4」は、商店街活性化の中心人物4人のこと。実家の酒屋を継ぐために東京から帰郷した邦夫ら4人が、衝突しながら団結していく姿を描く。

 畑中監督は早稲田大学3年のときに実家のコンビニ店をモデルにした短編「コンビニエンス」を発表。平成19年の短編「かぼちゃ」が学生映画祭などで評価された。今回の映画は、国際芸術祭「大地の芸術祭」に参加する作品作りのために開催地の新潟県十日町市を訪れた畑中監督がシャッター通りを見て、「このシャッターが全部開いたら面白い」と思ったことがきっかけだった。

 映画は、商店街に活気が戻るというありがちなストーリーにはならない。邦夫たちは「とにかくシャッターを開けよう」と呼びかける。「シャッターを開けさせるという行為は、閉じかかった街の人の気持ちをこじ開けて再び前向きにさせること。解決策ではなく、みんながまとまって同じ方向に向かうのが第一歩ということが描きたかった」

 やはり商店街の一角に建ち、映画の趣旨に賛同した東京・吉祥寺バウスシアターで、19日から1週間、モーニング&レイトショー公開される。

故郷の商店街に元気を 19日公開、映画『しゃったぁず・4』

東京新聞 2010/06/15

 地方商店街衰退の象徴として語られることの多い“シャッター街”をなんとかしようと、商店主たちが奮闘する映画「しゃったぁず・4」が、十九日から吉祥寺バウスシアターで上映される。畑中大輔監督は「自分の故郷を見直したり、前向きに考えるきっかけになれたらうれしい」と、全国の商店街のオヤジさんたちにエールを送る。(石原真樹)

 東京での仕事を辞め、地方商店街にある実家の酒屋に戻った邦夫(池内万作)。年老いて独り暮らしの父親を助けるどころか配達をサボってパチンコに没頭する堕落ぶりで、あきれた妻子に逃げられる。だが、父が自分のために商店街を活性化させようと苦心していることを知り、一念発起。「何をやっても無駄」とあきらめムードの商店街の長老たちに立ち向かう-。

 長老たちに意見を言えない若い二代目、何かにかこつけて飲み会に持ち込もうとする宴会好き、後継ぎがなく商店街の再生に興味がない店主。同じ商店街の住人でもそれぞれに事情と思惑がある。そんなアクの強い商店街のオヤジさんたちがユーモラスに描かれ、商店街の裏側をのぞき見している気分。邦夫は典型的なダメ男だが、どこか憎めないキャラクターは共感を誘う。

 企画のスタートは、新潟県十日町市と津南町で三年に一度開かれる「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ2009」への出品作を模索しているとき、畑中監督らが同市内のシャッター街を目にしたのがきっかけ。

 畑中監督は実家が埼玉県でコンビニエンスストアを営み、毛利明光プロデューサーは岡山県の商店街にあるすし店のせがれ。脚本の田中雄太さんは、商店街にあった実家の仏壇店が道路拡張のため閉店した過去を持つ。偶然にもメンバーに“当事者”が多く、しかもみな、後継ぎの道は選ばなかったものの、故郷を元気づけたい気持ちを持っていた。

 畑中監督は「実家近くの商店街で店がどんどんつぶれ、昔おもちゃを買ってもらったおもちゃ屋がなくなると思い出まで消える気がした。面白おかしく、商店街を元気にさせる作品ができないかと考えた」と話す。

 十日町商店街を作品の舞台にしようと決め、一年半かけて取材した。初めはヨソ者としてしか扱われなかったが、通い詰めて店主らに話を聞き、商店街のお祭りでは後片付けを手伝った。

 その打ち上げの席で酒を酌み交わし、「で、結局お前たちは何がやりたいんだ」と商店街の人たちが初めて向き合ってくれたという。それからは一転、スタッフの控室を提供してくれたのをはじめ、邦夫のトレードマークの赤いトレーナーや俳優の移動車まで貸してくれた。

 ◇

 地方商店街のシャッター街化という深刻な社会的問題を真っ正面から取り上げながら、“プロジェクトX”的な物語ではなく、一癖も二癖もある商店街の店主たちの人情劇に仕上げた。邦夫らが商店街再生のために編み出す秘策も現実的とは言い難く、正直、苦笑いしたくなるシロモノだ。

 笑ってもらえばそれでいい、と畑中監督は言う。「車社会だったり郊外の大型ショッピングセンターだったり、社会の変化は、商店街の人たち自身だけではどうしようもないところまできている。正直なところ、シャッター街をなくすことは難しいと思う。でも、せめて気持ちだけは前向きなほうがいい」

 タイトル「しゃったぁず・4」の「4」は、邦夫ら商店街再生プロジェクトの中心メンバー「四人」の意味。ジョージ・クルーニー主演のハリウッド映画「オーシャンズ11」を意識したのだとか…。

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